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日野市における子供関連施設の放射線量(放射能)測定調査についての疑問

私が住む東京都日野市でも、子供関連施設における放射線量(放射能)調査がようやっと、事故後数カ月もたって行われた。

それがこちら(別ウィンドウ)

http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/14,93007,61,1777,html

なんか、調査結果は低い値に見える(高いところもあるが)

そして、その測定方法をみてみる。

http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/tonai/sokutei20110622.pdf

地表面も測っているし、地上1メートルも測っている、5分保持した後の結果を5回以上の平均で見る、などなんかもっともらしい感じだ。

地上1メートルについてはこの調査は有効だと思います。

しかし、地上5cmや、地表面については私は不十分であると思います。

■なぜか?

使用機種が、私も所有している「DoseRAE2」だからです。

この機種は、空間線量を測ることができ持ち運びに便利な「個人用線量計」で、低線量下での精密な調査には向きません。
(約18万人の安全を”個人線量計”ではかるというのはそもそもどうかと思いますが)

また、体に影響を与える放射線には種類があって、

「アルファ線」「ベータ線」「X線」「ガンマ線」「中性子線」などがあります。

DoseRAE2が検出できるのは「X線、ガンマ線のみ」です。

文字で書くより、下記画像をご覧ください。

 

DSC01202
先日、家の前の排水溝から除染した汚染ゴミを、地面からの影響を少なくするために土の上の縁台に載せて測ります。
使用する機種はDoseRAE2、表面汚染を測ることができ、「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」「X線」を測ることができる高感度ガイガーカウンターInspectorの2台です。

 

DSC01203

DoseRAE2のセンサーは表面の+マークとなりますので裏返しにします。(都の調査マニュアルでは表向きのまま上の空間を測ることを推奨している)

市役所の計測のように、このままで5分程度待ちます。

その結果は…

 

DSC01214

DoseRAE2 0.26μSv/h

Inspector 0.611μSv/h(およそ0.58~0.700μSv/hの範囲)

やはり、全然違います。(なかなかの汚染度です)

なぜか?

それは…

そもそもDoseRAE2は表面汚染を測ることができない、それを測る目的で作られていない機種だからです。ベータ線、アルファ線を測れないのです。

騒がれているセシウムやヨウ素は、ガンマ線だけでなくベータ線を出します。
つまり、体内に取り込まれるとベータ線とガンマ線で被ばくするのです

骨に取り込まれるストロンチウムはベータ線を出します。

それゆえ、ベータ線を測れないDoseRAE2での地表面(およびその近く)計測は不十分です。

さらにいえば、おそらく、日野市では影響はないかもしれませんがプルトニウムが飛んできているとしたら、プルトニウムは「アルファ線」を出しますから、同様にDoseRAE2では検出できないのです。

+++

それと、日野市が採用している都の「都が貸与した小型放射線測定機器による空間放射線量率の測定方法について」ですが、「(読み取りの都合上、測定値の表示面を上に向けて測定することを推奨します)」とかいてあります。
しかし、DoseRAE2は、センサー位置は表面にあるのですが、それを上向きにするのではなく、下向き、せめて横向きにしないとよろしくないのではないか?(どの程度の計測誤差が出るか、今度試したい。)

image出所 DoseRAE2ユーザーズガイド

しかし、そのようなDoseRAE2で計測し、0.11μSv/hを記録している保育園とか、そのままでいいんですかね?

■地表面汚染調査をしっかりやる必要性

DoseRAE2が得意とする空間線量は、放射性物質が大気に拡散していたり、ガンマ線を出す汚染物質がたくさん飛散した状況で体外から放射線を浴びる「外部被ばく」を測ることに有効です。

飛ぶ力が強いガンマ線に対して、ベータ線やアルファ線は飛ぶ力が弱く、地上100cm程度になると、その影響は小さくなります。

一方で、現在のように汚染物質が大気から大地に移行し、そこに積もった汚染物質がアルファ線やベータ線を発している場合、当然、そこからの外部被ばくの危険が増します。しかし、それよりも怖いのは、「地表に積もった放射性汚染物質を体内に取り込んでしまう内部被ばく」なのです。

それは、外部被ばくはその場を離れれば避けることができるのに対し、内部被ばくは体内から排出されない限りは、その人の一生、放射線の影響を与え続けるからです。

そして、

子供たちは泥んこ遊びが大好きです。
だくさんのチリを吸い込み、口に入れてしまいます。

大人よりも鼻は低い位置にあり、地面からのチリをたくさん吸い込みます。
体育の授業だって同様です。

つまり、子供たちの内部被ばくの危険は非常に大きいのです。

だからこそ、表面汚染を正しく測ることが重要なのです。
表面汚染を測ることは、測って、そこから汚染物質を取り除くこと、近寄らせないことが重要な目的であるべきです。

そして、そのような表面汚染は、たとえば今日、数値が低く問題がないとしても、雨や風が吹いた翌日も同じとは限らないのです。子供たちが多く過ごすところは、毎日測らないと仕方ありません。

■市への要望

ちゃんと測ってください、計測以外でも、子供たちをちゃんと守ってください、ということです。

「局所的な影響を強く受けた測定結果」をなぜ調査から除外するのでしょうか。
(降雨時に水溜りになる地点は、周辺の放射性物質が集まっている可能性があり、局
所的な影響を強く受けた測定結果となるため、測定目的に沿わない地点となる。…日野市が採用している東京都健康安全研究センター「都が貸与した小型放射線測定機器による空間放射線量率の測定方法について」より )

都の方針がどうあろうと、それはそれで、別にちゃんと実施してください。自律的に子供たちを守る行動が求められています。

子供たちは、「局所的汚染個所」でも遊ぶのですから。

保育園や幼稚園は園庭の真ん中や砂場だけの測定で十分ですか?
赤ちゃんたちは床をズリ這いをします。床を触った手を口に入れます。子供たちは園庭の真ん中だけではなく、生垣や側溝付近で遊びます。汚染物質がたまりやすい草むらや、雨が流れ込む滑り台の下でも遊ぶのが大好きです。市民農園で野菜を育て、それを食べているのではないですか?
測定だけではありません、給食の食材管理もしかりです。産地表示をするだけで何か解決になりますか?子供たちは、大人の4倍、放射線の被害を受けやすいのです。


■保護者の方へ
どうか、与えられる情報をうのみにせず、自ら情報を集め、チェルノブイリの経過レポートや専門家の様々な意見を学習し、判断してお子さんを守ってください。リスク管理の原則は「安全を確保できるものを採用する(より危険性が高いものは選ばない)」ことです。都合のいい情報に惑わされないでください。
そして、お子さんを預けられている保育施設や学校、市に、ちゃんと要求をしてください。数人が要求しても意味がありません。個々人の動きが積もっていき、まとまった意見となって力になります。私がここでこのような記事を書くのも、個人の働き掛けだけでは市長に陳情してもろくに相手にされないこと(実績あり)、そして、役所が動くのを待つのではなく、現状では子供たちを守るための身の回りでの除染や安全確保の行動が即必要だと思うからです。

■その他の測定、補足

本日の空間線量、0.08μSv/h

DSC01241

我が家の庭での計測

DSC01217縁台の下


DSC01226
DoseRAE2 0.12μSv/h Inspector 0.209μSv/h

 

DSC01229庭、その2

 

DSC01239
DoseRAE2 0.10μSv/h Inspector 0.245μSv/h(平均的には0.200μSv/h程度と推察)

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2011年09月10日 10:29に投稿されたエントリーのページです。

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