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ちゃあとの別れ(3)

今日、日曜日の朝。
8時くらいに家の電話がなった。
電話は留守電となり、メッセージは吹き込まれなかったが、
着歴で母からの電話だとわかった。

すぐに、内容がわかった。

「ちゃあ、やっぱりダメだったよ、夜中に死んじゃったよ」

+++

電話を折り返し、今日、実家に行くことを告げて、電話を切った。

そして、パソコンを立ち上げて、昔のハードディスクを何台も
あさりながら、ちゃあの写真を探した。

ちゃあをとった画像はたくさんあった。
そのなかから、何枚かの画像を光沢紙にプリントした。

母と、そして、きっと悲しんでいる姉に渡してあげよう。

+++

実家までは車で1時間ちょっと。

妻を助手席に乗せて、実家に向かう。
道すがら、特に、ちゃあを失った喪失感にさいなまれることはなかった。
それはきっと、近いうちの別れをずっと予感していたからかもしれない。

+++

ちゃあは、台所で、ダンボールの中に氷や保冷剤と共にタオルをかけて
寝かされていた。敷布団代わりに、僕が実家にいたときに使っていた
枕が敷かれていた。

RIMG0205

+++

ちゃあの寝顔は、昨日とあまりかわらなかった。
少し目を開け、やや背中を曲げて丸まって寝ている。

「午前二時くらいまでは、そばに居たんだけど、そのあとだったんだね。
もうちょっと長くいてやったら」

母が言った。

「でも、そうやって我々を煩わせなかったのは、ちゃあらしいじゃない」

僕は言った。

「夜中に、めずらしく、(2番目の猫)ちぃが台所におきてきて、
朝までずっと居たんだよ」

母はさびしそうに言う。
「ちぃちゃん、珍しく、朝は一口もご飯食べなかったよ」

+++

それからは、ネットで火葬場を探した。
とにかく、猛暑が続く夏真っ盛り。
両親は共働きなので、月曜日の明日以降に葬儀を持ち越すことは出来ない。

何件か火葬場を当たった。

「予約が必要です」(死ぬ日を予測できるわけないだろ!!)

というところもあったし、
インターネットに表示してある金額の倍くらいを吹っかけてくる
火葬場が何件”も”あった。

そして、やっと、一軒の犬猫霊園で、インターネット表示どおりの条件で、
しかも、今日対応してくれるところが見つかった。

+++

しばらく時間があったので、母と姉夫婦と共に、昼食をとる。
ちゃあがよく入りたがっていたクーラーのきいた部屋で、
みんなで食べた。

そこに、ちゃあの棺も運び込み、おなかの上に彼が好きだった
魚の切り身と、カリカリのドライフードと、そして裂きイカ、
ミルクを載せてあげた。
「おなかすいてただろ、いっぱい食べていいんだよ」
と、語り掛けた

本当は、もっと早く、おなか一杯食べさせてやりたかったけど。。。

+++

時間が来て、家を出るとき。
彼が好きだった庭をもう一度見せてあげた。
そして、母と庭に咲いている花を摘んで、ちゃあの横に
いくつもおいた。

これらの花が咲く頃、いつもその下にあったちゃあの姿。
それを思い出しながら、ちゃあにいつまでも彼が好きだった庭を
感じさせたくて、花を摘んだ。

+++

葬儀場に行く途中は、
『ペット霊園反対』
の看板が所狭しとたっていた。

たしかに、住宅のそばに、火葬場と霊園が出来るのは、
そこの住んでいる人たちにとっては重大な問題だな、と
ぼんやり考えた。

+++

葬儀場では、思ったよりちゃんとした御葬式だった。
お経も唱えられたし、お線香をあげることもできた。

そして、その葬儀場の花壇に色々と咲いている花で、
さらにちゃあの周りを飾ってやることが出来た。

ちゃあの下には、青いバンダナが敷かれていた。

「じゃあね、ありがとう」

ちゃあのひげをなでながらお別れをした。
美猫だったちゃあの顔。
今では面影もないけど、それでもかわいくて仕方ない。

+++

炉に火が入って、40分。冷却に10分。

ちゃあの骨は、真っ白。そして、大きく残っていた。

「本当に健康に生きてきたんですね。こんな真っ白い骨は、そうそうないですよ」

葬儀場の人はいう。

たしかに、怪我こそすれ、大病などとはまったく無縁の孝行猫だった。
ちゃあの骨はしっかり残っていたので、当初予定していた骨壷には
入りきらず、もう一つ大きい骨壷にみんなで箸で入れた。

僕は、ちゃあの肩甲骨。昨日、まだ生きていた彼の体をなでたときに
感じた大きい肩甲骨を二つ。
足の骨を二本。先がちょっと曲がっていたしっぽの骨。
この18年、何度も何度も撫でた頭蓋を入れた。


最終的に、粉骨し、パウダー状になった骨は、小さな壷に入れ替えられた。
本当に、一握りほどのパウダーになってしまった。

RIMG0214

+++

帰り道、「ペット霊園反対」の看板を見つつ、
「それでも、自分にとって、本当に今日はあの葬儀場があってくれて助かったな」
と思った。

+++

32歳の自分にとって、18年を共にした存在というのはとても大きい。
中学生から高校、大学をへて現在まで。多感な時期の思い出に、
気づいてみればいつもちゃあはいたし、話題になった。
一時期、とても複雑だった我が家は、自分の家なのにそこに
いることがつらい時期も続いたけど、そのたびに自分を癒す相手に
なってくれた。とにかく、かわいくて仕方なかった。

ちゃあは、老衰という形でボロボロに衰弱してなくなるまで、
一生懸命生きていたと思うし、彼も我々を求めていてくれたと思う。

今はただ、

「本当にありがとう」

という言葉しかない。

いつまでも、彼のことを忘れずに生きていきたい。

 

neko
2000年位のちゃあ ちゃあはいつも、窓から外を見ていた  

コメント (3)

秋田のタカ:

ご冥福申し上げます。

「ちゃあ」君は幸せなネコちゃんだったと思いますよ。
皆さんに「愛されて」きっと「ちゃあ」君も家族の愛情をいっぱいにもらって天命をまっとうしたと思いますよ。
家にも「クロスケ」16歳メス猫がいますので他人事ではありません。

nbさんの心の悲しみが一日も早く安らぎますように。

合掌。

nb:

タカさん

ありがとうございます。
やはり、後になってから喪失感が出てきます。
でも、そのおかげで、我が家にいる猫を改めて
かわいがる気持ちになれました。

クロスケも、この夏は暑いでしょうね。
一日でも長く、健康でいてくれるといいですね!


???????(3) (NB-Roads????????????????) 私が探していたものです。情報をありがとうございました。

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2008年07月27日 22:50に投稿されたエントリーのページです。

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