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ちゃあとの別れ(1)

RIMG0034 
2004年9月のちゃあ

「ちゃあが、もう二、三日かもしれない」

母からの連絡をもらったのは昨日の土曜日。

二週間前に、実家にいる、17歳のオス猫「ちゃあ」
に会ったときは、よぼよぼのボロボロでも、自力で立ち上がって
歩いては、ミルクや食べ物をせがんできていた。

指を出すと、昔から僕と彼の間での儀式だった、
「なー」とちゃあがないて、指にスリスリすることもしていた。

一週間前から、ちゃあが、もう横たわって、あまり動かなくなって
いることを聞いた。病気ではない。老化だ。
僕はレトルトの柔らかいえさや、流動食をネットで購入し、
実家に送った。

そして土曜日。
母からの連絡を受けて、夜に、実家にちゃあに会いに行った。

ちゃあは、二週間前の姿と打って変わって、衰弱していて、
家で一番涼しい脱衣場の床に、氷枕を作ってもらって
横たわっていた。
目がかすかに開き、もう、ボロ雑巾のように動かない。

たまに、何とか寝返りを打ったり、顔を動かしているほかは、
彼が生きている証明は、呼吸で胸が動くかすかなしるしだけだった。

そんなちゃあをなでる。
彼が大好きだった、鼻の横、眉間、顎の下、耳の後ろ。
かつては、ゴロゴロとのどを鳴らして、名を呼ぶと「なー」と、
返事をしてくれた場所をさがして、なでた。
もう、衰弱しきった彼は、本当にやせていて、かつての感触は
感じられなかった。

それでも、ちゃあは顔を上げて、気持ちよさそうに目を閉じてくれたし、
大きく呼吸をして、胸が大きく波打った。
これは、もし彼が元気だったら、ゴロゴロのどを鳴らしていたしぐさだ。

もう、ちゃあは、声も出ない。
後ろ足も、動かない。
何とか起き上がって、寝床を移ろうとする。転がって、うまく動けない。

それでも、僕たちが脱衣場の隣の台所にいたら、
台所まで歩いてきて、いつもの彼の場所、テーブルの下の寝床、に、
小さく収まった。

+++

20020819 125 20020819 129
2002年のちゃあ

ちゃあは、ミルクが好きだった。
自分が家から持っていった粉ミルクに、流動食を混ぜて、
横たわったちゃあの口元に持っていった。

ちゃあは、顔を少し上げて、ミルクをなめ始めた。
でも、たった二口で、しんどそうに動きを辞めてしまった。

とても、悲しかった。

+++

夜、ようやっと世界に涼しさが下りてきた。
僕は、寝床ごと、ボロボロに横たわっているちゃあを抱いて、
彼が大好きだった家の外に出た。

色とりどりの花が咲く家の庭。
僕は、ちゃあに色々なにおいをかがせた。
花のにおい。土のにおい。草のにおい。風のにおい。
かつて、自分が洗車していたときによく、横で見ていた僕のロードスター。
僕が実家にいた頃は、ロードスターのエンジン音が聞こえると、
散歩中の彼が迎えに来てくれたっけ。

小雨の降った夜の風の中、ちゃあは、胸を大きく波打たせた。
においを感じている。そして、喜んでいる。
家に入っても、しばらく彼の大きな息遣いは止まらなかった。

僕は、別れを確信した。

そして、10年以上前に購入し、今でも日常のハンカチとして使っていた
青いバンダナを取り出した。
これは、買った当時はたまにちゃあの首に巻いて
「やっぱり、ちゃあってダンディーだね」
なんて言っていたものだった。

「もし、来週、自分が出張中にちゃあが死んだら、これを敷いてほしい」

母に伝えて、実家を後にした。

RIMG0038
2004,12,29寒い雪の日、3番目の猫と寄り添って寝るちゃあ

+++

 

コメント (1)

???????(1) (NB-Roads????????????????) 私が探していたものです。情報をありがとうございました。

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2008年07月27日 22:40に投稿されたエントリーのページです。

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