2月の終わり、秋田県の由利本荘市での仕事の後、
旅をして帰ることにした。
羽越線 羽後本荘から秋田駅の車窓。
白波の立つ日本海を眺めながら、2両編成の普通電車は進む。
朝の8時。
9時ごろ、秋田駅に着く。
角館に行くには、このまま普通列車で行くこともできる。
しかし、それだと大館駅でずいぶん乗換えに時間がかかるようだ。
かといって、新幹線に乗ればわずかの区間に3000円以上のコストがかかる。
そこで、秋田駅前のバスロータリーから、田沢湖行きのバスに乗ることにした。
9時半くらいに秋田駅を出発。運賃は角館まで1330円。
時間にして、1時間50分。
バスは、線路沿いに真っ白に雪が積もる山の中、田んぼの中、
川沿いをゆっくり進んでいく。
角館では、武家屋敷の観光施設、「伝承館」でバスを降りることもできる
のだが、仕事帰りなので荷物が大きい。
自分は、角館バスセンターで降車し、そこから8分ほど歩いて角館駅に向かった。
荷物を、コインロッカーに預けるためだ。
15時過ぎの電車で田沢湖へ向かう予定なので、それまで町を歩こう。
ちなみに、角館から田沢湖に向かう普通電車は非常に少ない。
1時間に1本もない。
バスセンターからバスに乗る手もあるし、新幹線という手もあるのだが、
自分は本数が少ない”貴重な”電車に乗りたいことと、田沢湖駅から
乳頭温泉までのバスの便を考え、15時過ぎの電車を選ぶ。
角館駅から武家屋敷までは、20分ほどで歩いていける。
とりあえず、行きはタクシーで向かい、帰りは歩いてこよう。
道の両脇には、除雪された雪が積もっている。
それを避けるように、観光客(そんなに多くないのだが)が車道に
広がって歩いている。
「あの人たちは、本当に地元の迷惑を考えない。
たくさん来てくれることはいいんだけど、それで売り上げが上がる店も一部だしね…」
タクシーの運転手が言った。
武家屋敷
閑散とし、ゆっくりと時間が流れていた。
つららが下がる
途中、2軒ほど武家屋敷を見学して回った。
明かりで壁に、亀の絵が浮かび上がる。
これは、屋敷の客間に映るように工夫されたおもてなしだ。
歴史ある雛人形が飾ってあった。
すっかり雪に覆われた屋敷。
爆弾低気圧が多かったこの冬、雪が多かったらしい。
灯篭も帽子をかぶる。
歩いていると、雪が降ってきた。
そういえば、トリコロールツーリングのときも同じアングルで
画像を撮ったなあ。
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またまたネコ雑貨専門店に行ってしまった。
旅の友ができた。
風に吹かれて痛かった自分の手を温めてくれる、かわいいやつだ。
武家そばで舞茸そばをたべる(大盛り)
武家屋敷を外れて、川辺に出てみた。
桜の並木が土手に続く。
川辺は一面の白い世界。
雪はさっきからずっと、チラチラと降り続いていた。
デフォルトで露出アンダーの世界。
被写体は明るい純白だからこそ、その集合体は
露出アンダーとなる。
しっとりとしたグレーの空と、音もなく降る雪が、
今という価値を教えてくれた。
にゃんこも即席のかまくらで楽しいようだ。
町の途中でお土産を買う。
結構、ゆっくりと回ってきたのだけど、それでもまだ時間が余った。
西宮家で甘酒を飲んで体を温めた後、駅に戻る。
それにしてもスノーシューズを持ってきてよかった。
歩道はまだ圧雪に覆われている。
駅前は、特にこれといってあるわけではない。
あの電車で田沢湖に行くよ。
つづく