++ 画像・文章の無断転用、転載、加工等はお断りしております++
☆また、商品販売や販売促進を目的としたサイトが当ブログの記事を無断でリンクし、
記事内の情報をそれら目的に用いることを禁じます。☆

« 私たちは未来をどうしたいのか?それを考え、発信し、日々行動することが大切 | メイン | NHK視点・論点で子供の被曝について分かりやすい説明がありました »

福島の子供に甲状腺異常 (関東の)親は今何をするかが大切

この状況が来るということは、チェルノブイリなどの事後経過を調べていれば簡単に想定できたこと。
それでも、いよいよ来たか、という感じだ。
異状が認められた子供(純粋に大人を信じ、その操る社会に身をゆだねている)たち、そして、その親御さんの心中を察する。心痛まずにはいられない。

今回、調査が行われたのは信州大学医学部。チェルノブイリで子供たちの甲状腺異常の治療にあたった現松本市長の菅谷さんがかつて所属していたところだ。それゆえ、甲状腺異常に関する治験は疑いがない。
チェルノブイリのときも、近隣の子供たちを日本に招き、信州大学で検査したりしてもいる。

しかし、東北、関東は特に深刻だが、さまざまな形で汚染物質が全国に流通を始めている今、子供、とくに乳幼児を育てる親や、妊婦、これから子供を持とうとする若い人たちは次の言葉に気をつけなくてはならない。

それは、今回の甲状腺異常の発表において…

「この甲状腺の異常が、原発事故と関係があるかは断定できない」

という発表がなされていることだ。

日本アイソトープ協会の「やさしい放射線とアイソトープ」でも、放射線による影響において、

「晩発影響」(長年の被曝による健康への影響)では
「放射線被ばくと同様な症状は放射線以外の原因によっても起こりうる。そのため、がんや白内障などは、放射線被ばくにより発生したのか、他の原因により発生したのか区別することができない」
(同書、82ページ)

と明記している。

つまり、今後(将来)、今回の原発事故が原因で放射線の影響を受けやすい子どもたちの体に異常が出ても、それが原発事故由来の障害であると証明することはできない、極めて困難と考えられる。
また、先の原発事故被害者への補償請求手続きで東電が「将来今後一切補償を求めない」と同意を迫っているのもこのような将来の想定への係争回避とも考えられるし、そのような姿勢であればなおさら将来的な障害への補償を得ることへの困難が予想される。

もちろん、東電だけではなく、「ただちに影響はない」と言い続けた政府や、まったく自発的に動かず無責任な「安全」を繰り返したり、自主的疎開や除染を支援しない自治体、給食で安全性を確保しない学校関係者などの責任も問われることになるが、はたして個々の家庭がそれを追求できるだろうか?

甲状腺異常については、原発事故でいえば放射性ヨウ素が原因となる。放射性ヨウ素は半減期が短く、3月の爆発での放出したものは現在は核反応が継続していない限りは殆どないと考えられる(8月には各地で新たに観測されたのがいまだに原因不明だが…)。
それゆえ、今は土壌や身の回りを汚染しているセシウム、ストロンチウム、プルトニウムなどへの対応が必要になる。これらは呼吸や経口で体内の筋肉や臓器、骨に取り込まれると、周辺の細胞に強い影響をもたらすアルファ線あるいはベータ線を放出し続ける。もちろん、ガンマ線も。それは、細胞や染色体を攻撃し、異常をもたらすことにつながりうる。

現在、政府や自治体による有効な子供保護策は、まったく無策に近いと言っていい。

このまま、子供たちが危険にさらされ続け、結果的に近い将来、健康に影響が出たら?
それでも、それが原発事故に由来することを個々に立証するのは困難なのだ。

だからこそ、今現在、親がしっかりと状況を理解し子供を少しでも被ばくから守り、環境改善を自治体や学校、保育園や幼稚園に働きかけていくことが重要だ。

放射線は確率的影響から言えば、少しでも被ばくするほど、白血病やがんなどのリスクが高くなることは、先の日本アイソトープ協会の本でも明記されている。

原発事故から6カ月たってもなお、状況は改善していると考えてはいけない。
今回の事故の影響は数百年、数千年、数万年続くものなのだから。

日本はこれまで原発を抱える国なのに、きちんとした放射線についての学習をしてこなかった。それゆえ、社会全体は危機感が薄く、子供たちの安全確保の必要性や重要性への認識が低いのが実態だ。

だからこそ、いま、子供を持つ親たちの姿勢や行動がとても大切だと言える。

+++

なお、「やさしい放射線とアイソトープ」は個人的にとても役に立ちました。
放射線の原理や各放射線の種類や特徴の違い、放射線の活用やその危険性、国際的な判断基準などが簡潔にまとめられています。私のような素人でも、わかりやすい本でした。

コメントを投稿

About

2011年10月04日 23:52に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「私たちは未来をどうしたいのか?それを考え、発信し、日々行動することが大切」です。

次の投稿は「NHK視点・論点で子供の被曝について分かりやすい説明がありました」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。


■NB-Roadsセレクション
ブログ内で取り上げた商品・気になる商品などをまとめたAmazonのショッピングページ。
NB-Roadsセレクション