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ニュースでみた姉弟

被災地の小学生姉弟が、毎朝学校へ向かう途中、道路の脇に立ち、復興作業に向かう自衛隊や警察車両等関係者に「ありがとうございます」などの手作りのボードを掲げて手を振っている様子が報道されていた。

それは、関係者を大いに奮い立たせているようで、「君たちのおかげで頑張れます」という自衛隊員の手紙などが紹介されていた。
いつしか幼い二人だけではない友達も参加するようになった。姉弟は、がれきがなくなるまで、ずっと続けたい、という。

二人の素直な行動に、ぐっときてしまった。どれだけ励まされる行動か。

そして、その反面、大人としての情けなさを感じたのが下の記事。

+++引用 ここから+++

<放射性物質>6~16歳尿からセシウム 福島市民団体調査

 

毎日新聞 6月30日(木)20時26分配信

福島県内の保護者らで作る市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などは30日、福島第1原発事故の子どもたちへの影響を調べるため、福島市内在住の6~16歳の男女10人の尿検査を実施したところ、全員から放射性物質のセシウムが検出されたと発表した。同ネットワークは「福島市や周辺の子供たちも内部被ばくしている可能性が高い」として、全身の内部被ばく線量を測るホールボディーカウンターによる早期の検査実施などを求めている。
会見した同ネットワークによると、5月20~22日に採った尿を放射性物質を調査するフランスの民間団体「ACRO(アクロ)」に依頼して解析。セシウム134(半減期2年)が1リットルあたり0.41~1.13ベクレル、セシウム137(同30年)が、1リットルあたり0.43~1.30ベクレルだった。ACROのデービッド・ボアイエ理事長によると、事故前はゼロだったと推測されるという。
今回の測定値について、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は30日の臨時会議後、「十分低い値。健康への影響は疫学的に考えられない」との認識を示した。そのうえで、継続的に子どもの健康を管理するシステムを構築するよう国に求めた。【久野華代、比嘉洋

+++引用 ここまで+++

信じられないのが、原子力保安委員長の最後の言葉である。

「十分低い値、健康への影響は…」

この人には、「そもそも、子供たちが汚染物質によって傷ついてしまった」ということの重みが分からないのだろうか。

また、尿から検出されたことも重い。

つまりそれは、口から摂取したものが汚染されているということだからだ。
そして、鼻から吸い込んだものは一生、肺からはとれず、そこで放射線を出し続けることになる。

つまり、いまの値だけを知っても仕方がなく、検査が行われた5月以降も、この子供たちは新たな汚染物質を摂取していたと考えられ、「塵も積もれば…」の日常を送っていることになるのだ。

それをたんに「子供の健康を管理するシステム」だけであたかも「ちゃんと考えていますよ」みたいに済ましてしまうことは適切なのか?肺は洗浄したり、交換できるのか?骨に取り込まれた物質は取り除けるのか?

そして何よりも、子供たちの気持ちや心が不安を抱き、傷ついているとすれば、それでも

「健康への影響はない」

といえるのだろうか。

+++

大人に純粋な目を向け、手を振ってくれる子供たち。

大人は、子供たちに何をしている?

子供たちは、社会を選べず、作ることはできない。受け入れるしかない。

だからこそ、大人たちが守らないといけないのではないのか。
また、なんとか子供を守りたいけど、どうにもできない若い親たちもたくさんいるだろう。施設の職員たちもいるだろう。彼らを守るのも、社会であるはずだ。

被曝への感受性が大人よりも数段も高いとされる乳幼児にも、この影響はあるかもしれない。地域的には、もはや人が住み続けることは難しいのでは、とも思う。
怖いのは、この国は、政治が政局にかまけている間に人々も急速に「異常な日常」をうけいれ、なにもないかのような生活に戻り始めている気がすることだ。

反原発への風当たりも出てきている。原発を何とか残そうというエゴが露骨に語られ、形として見えている。老朽化し、再開が危ぶまれていたはずの玄海原発しかり。

自分たちがこの福島原発災害で何を失っているのか、これから何をしないといけないのか、一部の人の功名心や興味や独善や利権のために何がされようとしているのか、しっかり目を向け、子供たちを守ろう。

+++

最近、「原子力発電は必要不可欠な技術だ。事故があったならなおさら、原発をやめるのではなく技術を高めていくことこそが前向きな対応ではないか」という論調を目にする。

ぱっと見、高尚な意見のように見えるが、万が一のことが起こったとき、そこにある命や生活の重みを全く無視した意見だと思う。社会を守るような意見に見えて、その実、意味するところはは正反対だ。人間は、放射線(能)を克服できないのだから。

技術を研究することは全くかまわない。むしろ必要だと思う。ただそれは、日本の原発だけで世界何億人の生命を天秤にかけるのではなく、遠海の無人島で、地下深くに研究所を作って研究所の中でやってください、ということだ。

コメント (5)

banabana:

私も今朝、asahi.comでこの

>「十分低い値、健康への影響は…」

というのを読んで、
「またか・・何を言ってんだこの人たちは?」
と、もういい加減うんざりという気持がこみ上げてきました!
こんな言葉を聞いて国民が安心すると、本当に思っているのでしょうか?

だって、まさにnbさんの言うとおり通り↓↓↓なのに!

>つまり、いまの値だけを知っても仕方がなく、検査が行われた5月以降も、この子供たちは新たな汚染物質を摂取していたと考えられ、「塵も積もれば…」の日常を送っていることになるのだ。

そしてこれからもいつまで続くか先の見えない状況で、
何故そんな無責任な事を堂々と云えるのか。

あの人たちが見ているのは、人ではなく数字だけなのだとまたまた思い知らされました。
はぁ~、この国はいったい・・・(ーー゛)

秋田のタカ:

ある福島の規制区域の方が言っていたことが忘れられません。
「今後俺らは国のモルモットだな。」

これから先終のない検査が続くと言っていました。

nb:

コメント表示が遅れてすみませんでした。

正直、この国は大丈夫なのかなー、なんて
本気で思うようになりました。
人のことより、目先の責任逃れがまかり通っているという…
はぁ~

nb:

>タカさん

「モルモット」まさにそうだと思います。
低線量被曝がずっと続く状態は、
原子力業界にとっても、原子力推進を図る諸国に
とってもほしいデータであるはずです。
福島では大規模避難がなされておらず、子供の
ヨウ素被曝も明らかになっている今では、
研究対象としての見方も高まっているでしょうね。

????????? (NB-Roads????????????????) 私が探していたものです。情報をありがとうございました。

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2011年07月01日 03:16に投稿されたエントリーのページです。

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